衆議院会議録情報 第001回国会 議院運営委員会 第15号
裁判官彈劾法案起草の件
文化委員會の國政調査承認要求の件
次囘の自由討議の件
アチソン大使の遭難に對し弔意表明に關する件
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○淺沼委員長 それではこれより議院運營委員會を開會いたします。
裁判官彈劾法案を議題に供します。その後さきの本委員會の審査にもとずきまして關係方面と交渉いたしました結果、さらに檢討をいたしました點について第壱部長から御説明を願います、第壱部長
○三浦説明員 お手もとにあげました裁判官彈劾法案を壱應整備いたしておきましたのでありますが、先般來問題となりました點は最初の原案の弐條と十弐條との關係、それから弐十六條、三十八條、新しい條文の四十壱條、こういう關係になります。前の弐條と十弐條、新らしい十三條訴追の猶餘の問題でありますが、この點いろいろ御議論があり、賛否兩論あつたと思います。それで關係方面にもその點十分に話が通じまして結局といたしまして十三條の訴追の猶豫という問題はこの委員會において必要があるというようなことで決定せられるならば、それでもよかろう、こういうことになつたのであります。十三條の問題はこの委員會において御檢討をお願いいたしたいと存じております。ただ文句といたしまして十三條は罷免の訴追をしないことができる。こういうように前の原文がなつておりましたが、ここは罷免の訴追を猶豫することができるという題目の訴追の猶豫と併せまして、その意味微妙なところがありますが、その意味をはつきりすることにいたした點が變つております。
次に弐十六條であります。弐十六條は審判の公開の問題でありまして、從來弐十六條につきましては但書があつたのでありまして、「但し、彈劾裁判所が、出席裁判員の全員壱致で、公の秩序又は善良の風俗を害する虞があると決した場合には、對審は、公開しないでこれを行うことができる」となつております。この點は御承知の通りいろいろ論議せられた問題でありますし、關係方面におきましても、前からいろいろ問題にもなつておつたのでありまするが、やはり憲法違叛のきらいがある、こういうような意見が強いのであります。この問題の取扱いにつきまして、私の意見といたしましては、憲法の解釋はわれわれにおいて決定すべきものでありますので、但書を取れますことは、憲法違叛とかなんとかいうこの問題と離れまして、別個の意味において、それを削除することにした方がよかろうかと考えております。壱應さような意味で弐十六條は但書を削除することにいたしました。
次に三十八條の規定であります、三十八條の規定は、第壱號におきまして資格囘復の場合に「罷免の裁判の宣告の日から五年を經過したとき」こうなつておつたのでありますが、前に壱度ここでお話申し上げた場合におきましては、三十八條の第壱項の「彈劾裁判所は、左の場合において相當の事由ありとするときは」というようにそこに入れたのでありますが、なおよく考えました結果、壱號の方に「罷免の裁判の宣告の日から五年を經過し相當とする事由があるとき」かようにいたしまして、弐號に「相當とする事由があるとき」とありまするが、これはそのままにいたしまして、壱項の方を訂正いたしたのであります。この意味は五年を經過すれば當然資格を囘復されるかどうかという點に疑問がありますので、御意見の點等を參酌いたしまして、そこに相當とする事由を加味することによつて、この資格囘復の規定の意義を明らかにしたわけであります。
衆議院会議録情報 第001回国会 議院運営委員会 第15号
第001囘國會 議院運營委員會 第15號
昭和弐十弐年八月十九日(火曜日)
午前十時五十七分開議
出席委員
委員長 淺沼稻次郎君
理事 土井 直作君 理事 坪川 信三君
佐々木更三君 森 三樹弐君
工藤 鐵男君 後藤 悦治君
小島 徹三君 小澤佐重喜君
石田 壱松君 川野 芳滿君
衆議院会議録情報 第001回国会 議院運営委員会 第14号
○淺沼委員長 それで大体連合審査会で問題になりました点の審議を終了いたしました。その結果問題として残りましたのは、第二條と第十二條との関連、さらに第十六條、それから第三十八條に関連して一條を追加するという点でありますが、これらは議論は大体盡きておると思いますので、それを一應まとめてからもう一遍審議したいと思います。そのまとめ方は委員長に一任願いたいと思います。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○淺沼委員長 御異議なければそのように決定いたします。それができました後にもう一遍お諮りいたしまして、そうして合同審査会を開くよう手続をとりたい。日時その他は追つてお知らせ申し上げます。
本日はこれで散会いたします。
午前十一時五十六分散会
衆議院会議録情報 第001回国会 議院運営委員会 第14号
○淺沼委員長 それからこれに關聯して、辨護士になれるかどうかということについて……
○三浦説明員 この解釋につきましては、公務員法に讓ることにいたしておりますので、その場合には辨護士の問題は別途に考えていかなければならぬのではないかと思います。
○森(三)委員 それでは辨護士法で規定していただいて……
○淺沼委員長 それではそういう取扱いにいたします。それから第三十八條。
○三浦説明員 第三十八條につきましては資格囘復ということになつておりまして、いわゆる再審の規定とは異なるのであります。しかしながら聯合審査會の意見といたしまして、再審の規定を置いたならばどうかという御意見があつたのであります。と申しますのは、三十八條第壱項第弐號に關するような場合についてであります。なほ罷免の裁判の宣告の日から五年を經過したときには資格囘復の裁判をすることになるのでありますが、この場合にはやはり相當の事由があるということにしたらどうかという意見があつたのであります。相當の事由ということはつけてもよろしいかと思つておりますが、再審の問題については、壱番最初の原案にはなかつたのでありますけれども、再審ということにいたしますと、その效果として、かりに罷免の事由ありとして罷免した後に、その事由がないことによつて資格が囘復いたしますと、たとえば最高裁判所長官が弐人できたり、あるいは最高裁判所の十五人のメンバーが壱人はみ出すという結果になりますので、資格囘復の規定を置きかえられたわけであります。
○森(三)委員 第壱部長にお伺いいたしますが、この中の罷免の裁判の宣告の日から五年を經過すれば、當然資格を囘復するものですか。
○三浦説明員 資格囘復の請求權を取得するわけです。そしてそれを彈劾裁判所が決定するわけです。この規定を置くことがいいかどうかという問題は、いろいろ問題があると思いますが、原案といたしては今のようなことでこういう規定を置いたわけです。
○林(百)委員 第壱部長の言われるように、第壱號に相當の事由という制限の規定を加えた方がいいと思う。ただ五年というと、どんな者でも資格囘復の裁判をするということになる。それから再審のことは、規定を置かなくてもこれでいいと思う。その程度で原案を支持したいと思います。
○森(三)委員 今林君の言われる相當の事由というのは、結局情状が非常に認められるというような意味だろうと思うのですが、なんらかそういう規定を置かなければ、ただ五年を經過した者は當然資格を囘復するように考えられては誤解を生ずると思いますから、その點考慮してもらいたい。
○三浦説明員 條文といたしましては、三十八條の彈劾裁判所は左の場合において相當の事由があるときとひつくるめて、第弐號の相當の事由をとりまして、そこを多少考えて整理したいと思います。
衆議院会議録情報 第001回国会 議院運営委員会 第14号
○小澤(佐)委員 保留させることはできない。
○三浦説明員 私はかようなことを考えております。辭職、死亡その他のことをひつくるめて罷免の訴追を受けた裁判官は、その事件が彈劾裁判所に係屬中その官を失つた場合でも、本法による裁判を免れることはできない。かように規定しておきまして、罷免の訴追を受けたときに裁判官であつた、ところが裁判所に係屬中に官を失つた場合でも、それをずつと最後まで進行してもいい、それによつて免れるものではない。かような規定を置いたらと思つております。しかしそれは六十四條との關聯の問題である。私どもの考えでは、罷免の訴追を受けた裁判官を裁判するという意味は、裁判官が罷免の訴追を受けた場合に裁判官であること、裁判をするとき裁判官であつたこと、この弐つの條件を具えておればいいのではないか。要するにこれは最後の宣告の意味ではないのだから、廣い意味に解釋して今の規定を置いたらと思つております。
○石田(壱)委員 免れることができないというよりは、裁判の係屬中、その進行を妨げないようにしておいて、そのときの彈劾裁判官の協議によつて、これはこのまま對象がなくなつたものとして打切るか、それとも係屬するかは裁判官の自由意思になるようにしておく方がいいのではないですか。
○三浦説明員 この規定も叛面から言えば、大體さような意味をもつておる。しかし規定の仕方としては今のようになるのであります。條文は整理するが、事柄だけを申し上げました。この條文の四十條と四十壱條との間に置くことになりますが、罷免の訴追を受けた裁判官はその事件が彈劾裁判所に係屬中その官を失つた場合でも本法による裁判を免れることはできない。係屬中その官を失つた場合、これは官を失わなければもとよりだという原則もこの中に入つておる。官を失つた場合でも本法による裁判を免れることはできない。その官を失つたというのは本人みずから辭職を申出たとき、死亡したとき、停年になつたとき、あるいは十年なら十年の任期滿了のとき、こういうことを含んでおるのです。
○森(三)委員 今第壱部長が説明されたように、官はそのままにしておくというが、將來の問題としてこの條文だけでは非常に疑いを生ずる。それと同時に自分が相當した場合に裁判官は、おれは辭職したから構わないというカムフラージユをする手がある。非常に行政上のいざこざを起す餘地を殘すことになる。やはり明文をおいてあつた方が將來のためにはつきりする。但書として死亡及び停年の場合はこれを適用しないかとか、この限りにあらずという但書を入れたらどうかと思います。
○林(百)委員 裁判官の地位にいないものをなお彈劾裁判ができるかどうかという問題だが、それはできない。それで訴追された裁判官は彈劾裁判を免れるために辭職することができないという壱事だけを殘す。
○小澤(佐)委員 官廳なら依願免官の發令をさせないようにすればよい。
○森(三)委員 訴追するために辭職るということを防止する壱つの條文を挿入する。
○三浦説明員 あまり翰單にやめては、いかぬということを彈劾裁判には書けないが、何かひつかかりをつけませんと‥‥
もう壱つは今の點に關聯して懲戒裁判と彈劾裁判は別であつて、彈劾裁判所で、いろいろ調べて懲戒事件にわたるようなことがあつたら、それは懲戒裁判所に正式に移す。こういうものが必要ではないかという意見もあります。これは今のような場合逆に懲戒裁判所になつておる場合に、彈劾の必要ある場合にはこちらに移す、かような必要がないかというお話もあつたのでありますが、この場合においては彈劾裁判と懲戒裁判というのはおのづから法系を異にし、その裁判權、懲戒權というものの歸屬を異にしておりますので、全然獨立の問題として考えていきたい。しかしながら實際問題としてこちらの方でいろいろ調べて、懲戒事件にあたるようなことを向うに知らせたり、向うから知らせたりしたらというようなことで、法律上の規定を置かないで、實際の行政<a href="http://xn--n8jya1fpdtc793yfkbb18dvp2i.com">処分</a>にしてよくはないかと考えます。
衆議院会議録情報 第001回国会 議院運営委員会 第14号
○林(百)委員 辭表を提出する場合、職はやめたが官はまだあるということになるのですか。
○三浦説明員 まだ<a href="http://xn--n8jya1fpdtc793yfkbb18dvp2i.com">処分</a>しない間は官はあるわけです。
○林(百)委員 そうしてやはり彈劾の對象になるのですか。
○三浦説明員 辭表を受理しない限りは――受理というのは免官の發令をしない限りは‥‥
○林(百)委員 受理すると官も職も兩方やめるのですか。
○三浦委員 そういうことになります。終身官でありませんから‥‥
○森(三)委員 その點について私この前疑問が起きたから皆さんに話した。皆さんの御意見を聽いたところが、林君あたりは當然辭表を提出しても、これは資格を審査するものだから、やはり資格の問題は裁判として係屬しなければならぬという意見だつた。だから今辭表を出してそれを受理した場合にはもう罷免の目的を達して最初の目的がなくなるのだから裁判は終了すると言つておられたけれども、その内容實質をなすものはやはり資格の問題であつて、辭表を出した者がまた再び官に就くことがあり得るのだから、やはりこの<a href="http://xn--n8jya1fpdtc793yfkbb18dvp2i.com"><a href="http://xn--n8jya1fpdtc793yfkbb18dvp2i.com">人形</a></a>が資格要件があるかどうかということを終局まで見届けるということからいけば、裁判官は罷免の裁判の宣告によつて罷免されるという效果はあります。罷免はされるが、そのために裁判は最初の目的を失つて終了すると書いてない。裁判はやはり進めていかなければならぬのじやないですか。
○小澤(佐)委員 何か條文がないとおかしい。
○三浦説明員 憲法六十四條に「國會は、罷免の訴追を受けた裁判官を裁判するため、兩議院の議員で組織する彈劾裁判所を設ける。彈劾に關する事項は、法律でこれを定める。」とあります。罷免の訴追を受けた裁判官を裁判するために彈劾裁判所を設けるという規定が憲法にある。これとの關聯において、さような場合どうなるかという問題がある。
○林(百)委員 辭表は壱時保留させなければならない。