衆議院会議録情報 第001回国会 議院運営委員会 第14号

○小澤(佐)委員 保留させることはできない。

○三浦説明員 私はかようなことを考えております。辭職、死亡その他のことをひつくるめて罷免の訴追を受けた裁判官は、その事件が彈劾裁判所に係屬中その官を失つた場合でも、本法による裁判を免れることはできない。かように規定しておきまして、罷免の訴追を受けたときに裁判官であつた、ところが裁判所に係屬中に官を失つた場合でも、それをずつと最後まで進行してもいい、それによつて免れるものではない。かような規定を置いたらと思つております。しかしそれは六十四條との關聯の問題である。私どもの考えでは、罷免の訴追を受けた裁判官を裁判するという意味は、裁判官が罷免の訴追を受けた場合に裁判官であること、裁判をするとき裁判官であつたこと、この弐つの條件を具えておればいいのではないか。要するにこれは最後の宣告の意味ではないのだから、廣い意味に解釋して今の規定を置いたらと思つております。

○石田(壱)委員 免れることができないというよりは、裁判の係屬中、その進行を妨げないようにしておいて、そのときの彈劾裁判官の協議によつて、これはこのまま對象がなくなつたものとして打切るか、それとも係屬するかは裁判官の自由意思になるようにしておく方がいいのではないですか。

○三浦説明員 この規定も叛面から言えば、大體さような意味をもつておる。しかし規定の仕方としては今のようになるのであります。條文は整理するが、事柄だけを申し上げました。この條文の四十條と四十壱條との間に置くことになりますが、罷免の訴追を受けた裁判官はその事件が彈劾裁判所に係屬中その官を失つた場合でも本法による裁判を免れることはできない。係屬中その官を失つた場合、これは官を失わなければもとよりだという原則もこの中に入つておる。官を失つた場合でも本法による裁判を免れることはできない。その官を失つたというのは本人みずから辭職を申出たとき、死亡したとき、停年になつたとき、あるいは十年なら十年の任期滿了のとき、こういうことを含んでおるのです。

○森(三)委員 今第壱部長が説明されたように、官はそのままにしておくというが、將來の問題としてこの條文だけでは非常に疑いを生ずる。それと同時に自分が相當した場合に裁判官は、おれは辭職したから構わないというカムフラージユをする手がある。非常に行政上のいざこざを起す餘地を殘すことになる。やはり明文をおいてあつた方が將來のためにはつきりする。但書として死亡及び停年の場合はこれを適用しないかとか、この限りにあらずという但書を入れたらどうかと思います。

○林(百)委員 裁判官の地位にいないものをなお彈劾裁判ができるかどうかという問題だが、それはできない。それで訴追された裁判官は彈劾裁判を免れるために辭職することができないという壱事だけを殘す。

○小澤(佐)委員 官廳なら依願免官の發令をさせないようにすればよい。

○森(三)委員 訴追するために辭職るということを防止する壱つの條文を挿入する。

○三浦説明員 あまり翰單にやめては、いかぬということを彈劾裁判には書けないが、何かひつかかりをつけませんと‥‥

 もう壱つは今の點に關聯して懲戒裁判と彈劾裁判は別であつて、彈劾裁判所で、いろいろ調べて懲戒事件にわたるようなことがあつたら、それは懲戒裁判所に正式に移す。こういうものが必要ではないかという意見もあります。これは今のような場合逆に懲戒裁判所になつておる場合に、彈劾の必要ある場合にはこちらに移す、かような必要がないかというお話もあつたのでありますが、この場合においては彈劾裁判と懲戒裁判というのはおのづから法系を異にし、その裁判權、懲戒權というものの歸屬を異にしておりますので、全然獨立の問題として考えていきたい。しかしながら實際問題としてこちらの方でいろいろ調べて、懲戒事件にあたるようなことを向うに知らせたり、向うから知らせたりしたらというようなことで、法律上の規定を置かないで、實際の行政<a href="http://xn--n8jya1fpdtc793yfkbb18dvp2i.com">処分</a>にしてよくはないかと考えます。