衆議院会議録情報 第001回国会 議院運営委員会 第14号

○林(百)委員 石田委員の十五條の解釋ですが、八十弐條の國民の權利が問題になるという事件というのは、やはり罷免を要求しておるわけです。その罷免の要求が、國民の要求が妥當であるかないかということをやはり問題にするわけなんですから、八十弐條の國民の權利という中にはやはり公務員の彈劾權の行使ということを當然この中に入れるべきである。ですから國民の權利ということは廣く解釋して、十五條の國民の彈劾權の行使、罷免權の行使ということも當然この中にはいると思う。

○石田(壱)委員 行使ということはもうしておる。ただ行使された後にこれを審理する手續上の裁判を公開するかしないかということは、全然それにはかかつてない。

○工藤委員 石田君の議論が正しいと思う。

○三浦説明員 ただいま問題になつておる點につきまして御參考に申し上げたい。今の十五條で固有の權利がすでに行使されておるという御意見もあるようですが、彈劾裁判所が彈劾するかどうかということを決定するのであつて、國民固有の權利が行使されたかどうかということは、壱に國民代表として選ばれた議員で構成されておるところの彈劾裁判所の權限に屬しておることでありますので、訴追されたからといつて十五條の權利が行使されたというような解釋には、八十弐條との關聯においてはならないように私ども考えておりますので、そのような意味からなおこれが必要であるかどうかという點を御審議願えば結構じやないかと思う。

○石田(壱)委員 第壱部長の御意見、なるほどそういうふうにも解されるようですが、私はこの際の國民の權利が問題となつている事件の對審は、國民の權利というのはいわゆる彈劾裁判官がその裁判をした結果、これは罷免に値しないというので無罪にした。こういう場合にこれが憲法違叛であるかどうか、彈劾權を行使すべきところをしないで無罪にした。この權利を放棄しておる。だからこれを自分の權利を囘避しておるというような疑いがあつたときに國民の權利が問題になつておるのであつて、この際には憲法第八十弐條のいわゆる後段の國民の權利が問題となつておる事件の對審ということにならぬと思う。

○三浦説明員 たとえば出版に關する犯罪等におきましても、出版の自由が國民の權利義務として保障されておりますので、その場合に出版に關する犯罪が無罪になつたとかどうとかいうことによつて決定されるのでなく、いやしくも出版に關する犯罪が有罪であるか、無罪であるか、とにかく刑事上の事件として取上げられた場合におきましては、すベてそれは公開でやらなければならぬ。逆に言いますと、出版の自由、政治犯罪等におきましては結社の自由、こういうことの基本的觀念からくるものだと考えておりますので、さような意味から御解釋願う方がいいのではないかと思います。

○淺沼委員長 ちよつと速記を止めて。

   〔速記中止〕

○淺沼委員長 速記を始めてください。

○工藤委員 言葉の問題から見ればかけ離れたことを書いておるのですが、祕密裁判に對する公開裁判、祕密警察に對する公開警察で、その祕密裁判に對するためにオープンにした方がいいというのがわれわれの考えです。從つて七十八條の公の彈劾によらなければならない。公の彈劾は原則としてやつておる。たとえば最高裁判官については、總選擧の際に問題を示して、投票できめていく。そういうことも壱つの方法であるし、刑事裁判、司法裁判についてももちろんオープン主義である。パブリツクの方法によるということは、必ずしも公開とばかり言われないのです。パブリツクであるということは、要するに祕密でないことはもちろんである。しかしわれわれは公開でいこうという原則を立てておるけれども、しかし例外は少いかもしれぬが、將來發生してくる現象はいかなるものであるか豫想せられないから、法律は例外を尊重する場合がきわめて多い。だから繰返えすようですけれども、われわれが三十人の裁判官がことごとくこれじやいかぬからこうしようという時分に、ことさらそれでもお前らに任しきれぬというような法律をつくることは、刑事的政略の上から考えてどうか\xA1

知らぬが、何もこれをもつて裁判官に非常に恐怖心を起させて――恐怖心はある意味においてはいいことです。職務に忠實ならしめるいい意味だけれども、そういう手を用いなくてもやつていけると私は思う。だから私は公で裁判する。オープンでいくことを原則とする。公の機關、國民の代表である議員によつて代表される裁判ですから、私はいいと思う。公とオープンを同じように考えてはたいへんな間違いである。過去の歴史から見ても公ということは祕密裁判に對するものであつて、公ということは必ずしも公開法廷にしなければならぬという理由になつてこないと私は思う。