衆議院会議録情報 第001回国会 議院運営委員会 第10号

○大池事務總長 そこで、各常任委員長の申合せの七でございますが、ただいま議事部長の方からも御注意がありましたのですが、議院が請願を採擇または不採擇したものについては、請願者にその採擇不採擇の旨を通知する。これは民主的な建前からいたしますと趣旨としては結構でございますが、現實の場合には何萬という同じものが來る場合があります。現在の状態で申しますと、六・三制の問題のごとき何萬と來ておる。聯名で來ておると、その頭の人にやるとか、そういうものは代表者にできるだけいたしますけれども、現在六・三制のごときは聯名で來ずに別々に來ておる。そういうように全然同じものが別々の形でどつと來た場合には手續上たいへんだろうと思います。それでもしこれができれば採擇または不採擇に決したものについては、請願を紹介した議員にその結果を通知してやるという程度に直していただけば、事務上差支えないと言つておられるのでありますが、御考慮のほどを願います。

○淺沼委員長 それではお諮りいたしますが、請願及び陳情書の取扱いについては、第七項目の「請願者」というのを「請願の紹介議員」ということに改めて決定することに異議ありませんか。

   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○淺沼委員長 さよう決定いたします。

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○淺沼委員長 次に裁判官彈劾法案を議題にいたします。

 先日小委員會の成果について若干の修正箇所を協議いたしましたが、さらに關係方面との交渉の結果、檢討を加える必要がありますので、御審議を願います。壱應第壱部長に説明いたさせます。第壱部長。

○三浦説明員 お手もとに印刷にしておあげいたしました裁判官彈劾法案というのが、小委員會において決議されました原案であります。それから壱枚刷りにいたしまして裁判官彈劾法案修正というものを差上げてありますが、これはその後關係方面に折衝の結果、修正をしたらばと考えておる箇所であります。順を逐うて御説明申し上げます。

 第弐條につきましては、先般の委員會の際に申上げましたが、原案に四號ありますものを弐號にまとめまして、「涜職の行爲があつたとき。」というのは修正案の壱號の中に含まれることに規定をいたしまして、原案の壱號、弐號、三號をひつくるめまして修正案の壱號に、それから原案の四號を修正案の弐號といたしたのであります。かように改めましたゆえんは、涜職の行爲は壱應職務上の義務違叛に入ることは、もとより考えておつたのでありまするが、原案第十弐條との關聯におきまして、壱應裁判官として涜職の行爲があれば、これは訴追事由とするに足るという考えをもちまして訴追事由にあげまして、なおそれに情状によつて宥恕すべき事由があれば、十弐條によつてこれを免除しよう。こういうことにいたしたのでありますが、修正案の通りに壱號の中に入れてまして、「職務上の義務に著しく違叛」という、著しく違叛した場合において訴追事由とすることにいたしますれば、十弐條の規定がその關係においてはなくなるのでありまして、それとなお壱般の職務上の義務違叛につきましては、著しく違叛した場合につきまして原案においても訴追事由といたしておつたのであ\xA1

りますが、それと三號の「職務を甚だしく怠つたとき。」を壱緒にして、今のような意味におきまして壱號の規定としたわけであります。

 それから第弐號は「その他職務の内外を問わず、裁判官としての威信を著しく失うベき非行があつたとき。」といたしまして、職務の内外を問わずという言葉を附加えました點と、從來「信用」とありましたのを「威信」ということにいたしたのであります。「職務の内外を問わず」というのは實は附け加えませんでも當然のことと考えておつたのでありまするが、これを加えまする方が明瞭でありますので、さようにいたしたのであります。なお威信といたしましたのは、この四號に關しまして多少明瞭を缺くきらいがありはしないか、要するに四號の場合は今壱號にあげた以外において裁判官の非行があつて、それが司法の尊嚴を害する、こういう場合におきまして訴追事由とする方が適當ではなかろうかというような意見もありましたので、その意味を加味いたしまして威信ということに改めました。