衆議院会議録情報 第001回国会 議院運営委員会 第8号

○小澤(佐)委員 林君の解釋のしかたは、實は字句の問題ではない。いわゆる健全財政を維持していく上において、非常に異つた點がある見方だと思う。委員長は字句だけだといい、民主黨はそういう意味じやないといつておるが、共同提案にしようとするなら、その點をはつきりしたい。

○後藤委員 新物價體系だけでも執行豫算が立たなくなつてくる。それに随伴して各省から大藏省へ要求されると、大藏省はまいつてしまう。時局の要請する追加もやつていかなければならぬ。そのこと自體がインフレを助長することになつていく。だからわれわれはやりたい仕事もあるが、同時に財政面からインフレを助長することがあつてはいかぬ。そこに健全財政の決議案をもつて、國民の各階層に要求はあろうが、國家全體としては健全財政の綫を死守していかなければならぬ。要望と健全財政の綫としつくりしていくためには、各界層にわたつて、勞働面、生産面もお互いに辛抱しなければならぬということをうたおうというのである。

○林(百)委員 物價はすでに新物價體系で三倍半に上つておる。あと將來増加する危險があるというのは賃金しかない。

○土井委員長代理 民主黨、共産黨の方にお聽きしたい。他會派の方々は、できるならば同調して壱致點を見出してやつてもらいたいという意見が相當ある。多少時間を與えることによつて、兩者で同調できる可能性があるかどうか。可能性がないなら、時間を與えることは何ら意味がないから、明日上程したい。しかし同調の餘地があれば、中野さんの言うように、きよう、あす上げなければならぬこともないから、全會壱致で通過できる形にした方が印象的にもよいと思う。いかがでしようか。

○林(百)委員 民主黨の方に聽きますが、賃金という弐字はとられますか。

○後藤委員 こういうことにしよう。今、委員長からお話のあつたように、壱應雙方時間をもつことにしたい。共産黨も健全財政には異議はない民主黨も健全財政をうたつておる。それで民主黨の提出した決議案は、勤勞者の犧牲だけを強要することが本旨ではない。共産黨も健全財政に同調すれば、それに同調したために辛抱しなければならぬ面が起つてくるのは同じだから、やはり協議して、時間をもつてあす會同するようにしたらどうか。

○佐々木(更)委員 民主黨の方にも考えていただきたいと思うが、民主黨の方も必ずしも賃金を針づけしようとは考えていないであろう。共産黨の叛對するわけは、犧牲を勞働階級の負擔にする。こういう説明をするに違いない。そうすると、いかにも他會派は賃金を針づけにするのだという印象を與えて、それの及ぼす影響は社會的に非常に甚大であると思いますから、これは何とか話合いをつけて、民主黨の意見も生きるよう努力せられたいと思います。

○後藤委員 佐々木さんの御議論もごもつともだが、全文を見れば、識者の批判にまてば、共産黨の行き方は曲解あるいはこじつけ議論だというふうに、識者は見ると思います。それで圓滿のためにあす會同することにして、時間をもつて、今日決定しないことにしようではないか。

○土井委員長代理 委員會としては大體こういう取扱いにしましようか。字句的な修正竝びにその他については、兩黨の協議に壱任する。そして妥結ができれば、さらに議會運營委員會を開くというわけにいかないので、明日の各派交渉會にこれを諮つて、了解を得れば、ただちに上程できるように取運んで、逐條的な修正は、他會派の方々は、兩黨でもつて妥協がつくならば、それをうのみに御承認を願うということができますか。

○小澤(佐)委員 それはできない。大きな問題だ。