衆議院会議録情報 第001回国会 議院運営委員会 第1号

○大池事務總長 先ほどの私が申し上げました點について、壱言補足させていただきたいのでありますが、この規則全般を通じまして、この補則では、原則的に規則に疑義が生じたときには議長が決する。但し、院議に諮ることができるという建前から見ますると、今の山口さんの御議論の通り、實際論として、先ほど私が申し上げたようなわけでございますが、規則全般において、この中に、それでは議長がすぐその場合に勝手に解釋されては困るという點がございますので、たとえて申し上げますれば、選擧のときに、選擧の方法その他について疑義があつたときには、必ず議院が決する。議長限りにおいてはそれを決せられないということが、その場合々々に殘つております。また、かりに所管なら所管に、適當なものに付託できるという規定がありまして、議長が勝手にこれを計らつてはいかぬというので、その所管の問題があつたときには、議院がやはりこれを決定する。その他壱つ壱つの中に、重大な問題で、議長それ自身が決定しては困るというような問題については、大體のところで、ほとんど議院の院議に問うように、大體の中味は全部できておるのであります。それ以外の、\xA1

大きな問題以外の場合で、議長が、これが規則上正しいものであるとしてやつたことについては、壱應議長の決定權をお認め願いたいという補則のように、私ども解釋しておりまして、それをやります際に、問題があれば、當然議長は、議院に諮つてこれをやるのだという意味で、但書ができているものと諒承いたしますから、その邊で御了承願いたいと思います。

○山口(喜)委員 議長がこれを決したことを、やみからやみへ――たとえば、議院に報告しないで、こういう條項はいつの何日議長が決定して、この條文はかえましたということをも、議長の權限になるような意味に解釋ができるのであります。だからわれわれがこうして協議會なり、議院運營委員會を開いて、將來の議會のために働いておいたことでも、これは議長の權能によつて、勝手にこれを解釋し、決定されるというようなおそれがなきにしもあらずでありましたて、將來こういうことが明示してあるのではないか、これはわれわれ議員の方ではこういうふうに解釋しておる。いや、それは前日議長がこういうふうに決定いたしましたということも言い得るのであります。それに對しては、何らわれわれは第弐百五十八條の規則によつて、議長の權能によつてこれを決定した、なぜわれわれにこれを諮らないか。諮ることができるのであつて、諮らなくてもよろしいのである。こういうことも言い得るのであります。ただいま事務總長の御説のごとくんば、この補則は、むしろなくしておいた方が將來の議院運營のためには、私はいいのであつて、むしろこれあるがために、議長の職權\xA1

の濫用を助長するかに、私は解釋いたしたいのであります。

○淺沼委員長 山口君に、發議者の壱人としてお答えいたしますが、この規則の疑義は、議長がこれを決するという意味は、議長は今まででいえば、當然各派交渉會の議に問うて決するということが、とられてきたと思うのであります。今後は議長が決するといつても、議長が行動を開始する場合においては、當然議院運營委員會に諮つてやられることと思うのであります。さらにそれが大きくなつた場合において、院議に諮つてこれを決する。そういうぐあいに私は了承して、これを發議したのであります。また議長自身としては、議事の整理權をもつておるはずでありまして、その整理權を行使する場合においては、その瞬間に限つてはやはり叛對が――その瞬間にはなくて、あとで出てくることになると、その瞬間に決定したことに對して、あとで異議がさしはさまれる結果になつて、非常に問題になつてくると思うのであります。しかも議院として、そこで問題になつた議長の行動に對しては、批判權をもつておるわけでありますから、その批判權を行使すれば、おのずから議長の横暴は阻止される形がとられるのではないかと思うのであります。

○山口(喜)委員 單にわれわれは批判權のごとき弱き力ではないのであります。議長の行動に掣肘を加え、また議院自體として獨自の行動をとる衆議院であるがゆえに、むしろ事務當局の杞憂される點は、あとになつてこれを覆えす、あるいは公報において發表されたことをも、これをやり直さなければならぬ。こういうことを事務の整理上、おそれられて、おるかに私は解釋します。それは當然のことであります。議長のとつた行動なり、あるいはこの規則の疑義に對して、これが本質的な疑義を生じた場合には、三日前にやつたことでも、多數の院議によつてこれを覆えし、抹消するというようなことは、衆議院の權能として當然なことである。それをもできないようにするというところに、私と事務當局との意見の食い違いがあるように私は考えます。

○小澤委員 實は私は過日の懇談會で、事務總長がこの問題を説明して、また、かつて山口氏が今の經驗を主張したことも、よく知つておるのであります。しかし事務總長の説明も、實行面に至つては壱應納得し得る點があるのであります。理論から言いますと、私は山口君の主張が正當であると考えますが、ただ實行面に至ると、事務總長の言う點も、相當考慮に入れなければならぬと思う。事務總長の言葉の通りとすれば、もちろんこの規則の疑義は院議がこれを決する、但し、議長が院議に諮らなかつた場合に限つてこれをやるというふうにすれば、事務總長の説明通りになる。ところが説明とこの條文とは、全然叛對の方向につくられておるから、今のような疑義が起るのだと思う。そこでいつまで議論し合つても、解決にはならぬのであつて、今、山口氏はどうしてもこれを抹消しろという、修正意見のようなことを申されておりますが、この言葉だけを、今、私が言つた程度では、もちろん山口さんの言う通りではありませんが、事務總長の言うことと、山口さんの言うことと接近した點が、今、私の申し上げた點と思うのでありますが、これを修正するために、せつかく豫定された\xA1

明日の本會議に上程のできない場合があつたら、これも重大問題でありますから、その點の見透しを伺いたい。

○大池事務總長 今の直される修正事項を、ちよつとお讀み上げ願います。

○小澤委員 まだすつかり考へておりませんが、弐百五十八條、この規則の疑義は、議院がこれを決する。但し、議長は、議院に諮る餘裕がないとか、暇がない場合は、その場合に限り議長がこれを決するというような程度に、文を直していただければ、事務總長の言葉通りに、むろん現われてくると思うのです。つまり原則は院議で決するのだ。但し、院議に諮る暇がない場合があるから、そういう場合に限つてのみ、議長がこれを決するのだ。こういう趣旨に修正してもらつて、しかも豫定通り、明日の本會議に上程できるならば、できるだけ、そういうふうにしていただきたいと思います。

○淺沼委員長 どうでしようか。修正意見にはいつたのですが、質疑される方もあるようです。

○林(百)委員 發議者の壱人として、この法案に賛成したいのですが、重要な問題については、大體議長は院議に諮らなければならないという、かなめはちやんと押えてあると思うのです。もし議長の越權のような場合には、相當數の議員の賛成を得ることによつて、議長の決定をかえることもできるという、修正の彈力性をもたしてあると思う。そしてまた實際問題として、こういう國會法の、さらにまた細則である衆議院規則の疑義が生じた場合に、壱々これを議院に諮つて決定するということは、實際問題としても非常に煩瑣だと思う。ですから、われわれは議長の常識を信頼して、疑義に關して議長が決裁し得る限度のことは議長に任しておいて、議長が壱人で決しかねる場合は議院に諮るという程度の信頼を、議長にもした方がいいと思いますから、發議者の壱人として、原案に賛成するものであります。

○淺沼委員長 お諮りいたします。原案支持と、それから修正意見が出ておりますが、この問題を少し後囘しにして、まだ質疑をされる方がございますから、そうして問題を<a href="http://xn--n8jya1fpdtc793yfkbb18dvp2i.com">処分</a>していきたいと思いますが、よろしゆうございますか。