衆議院会議録情報 第001回国会 議院運営委員会 第1号

 第壱章及び第弐章には開會の當時におきまする行事につきまして規定をいたし、これに議院の役員の選擧の方法竝びに内閣總理大臣の指名の議決の方法について、規定をいたしました。これらは暫定衆議院規則と大差はありません。開會式、會期の決定、會期の延長、國會の休會等に關しまするものは、國會法の規定に基いて必要な手續を定めました。

 第五章に、兩院法規委員會の委員の選擧竝びに彈劾裁判所の裁判員及び訴追委員會の委員の選擧等を規定いたしました。これらも、御承知のように新しい國會法に基いて、必ず選擧をいたさなければならないものでありまするが、それらの手續等を、ここできめたのであります。

 第六章に、議案の發議のことに關しまして規定をいたしました。この中で從來と異つておりまする點は、議案が提出されますれば、本會議においては審議されないで、ただちに委員會に付託されるという點につきまして、具體的の規定を設けたのであります。また議員が發議いたしました法律案につきまして、その發議とともに、豫備審査のため、參議院に送ることにいたしましたのは、内閣提出の法律案が、その提出の翌日以後五日以内に他の壱院に送られることに、歩調を壱にしたわけであります。

 第七章は、委員會に關する規定でございます。六節に分れておりますが、その中で特に取上げて申し上げたいと思いますことは、通則中に、委員會はその所管に屬する事項に關しまして、法律案を提出することを認めました。これは委員會が議長の承認を得て國政に關する調査をなし得ることと關聯をいたしまして、委員會の重要な權限として取上げられたわけであります。なお通則の中に委員會における議事の順序、發言に關すること等、詳細にわたつて規定をいたしましたのは、將來の委員會の運營からいたしまして、議員諸君の理解を助けんがためであります。

 次に第三節に、公聽會に關する規定が設けられております。これは御承知の通り、新國會法に採用された新しい制度でありまして、その公聽會を開く場合における諸手續を詳細に規定いたしました。大體な點について説明いたしますれば、公聽會を開き得るのは、委員會に付託された議案についてのみであります。また公聽會は議長の承認を得た後、委員會の決議に基いてこれを開くこととし、そうして豫備審査のためにも、公聽會を開き得ることといたしました。しかして公聽會を開くに決しましたときは、その日時及び事件を廣く公示いたしまして、意見を述べようとする者に對しまして、その申出を受けることにいたしました。しかしながら、その意見を聽こうとする利害關係者及び學識經驗者等は、あらかじめ申し出た者及びその他の者の中から、委員會においてこれを選擇することといたしました。

 次に第五節におきましては、各常任委員會の委員の數を定め、またその所管事項について、ある程度の輪郭を定めました。しかし、いずれの委員會にも屬しない事項のあることは承知しております。この場合におきましては、特別委員會を設けるわけでありまするから、議案審査の上においては、缺くるところはないと考えまするが、ただ弐箇以上の委員會に關聯する場合が想像し得られるのであります。この場合においては、議長は院議に諮つて決定した常任委員會に付託することといたしております。なお弐つ以上の常任委員會の間に、いわゆる權限の爭いが起きましたときは、議長は、やはり院議に諮つてこれを決する方法を構じております。

 次は第八章會議であります。本章は六節にわかれておりまして、本會議におきまする議事の順序、發言、修正等を規定しております。議案審査の方法が、すベて本會議で審査せずに、ただちに委員會に移される關係上、本會議におきましては、委員會からの法案の提出を待つて、その議事を開くことが、原則となつております。從いまして、議事の運び方は讀會制度がなくなつたほかは、從來の第壱讀會の續における委員長の報告の議事と、ほとんど差はございません。國會法の精神に基きまして、少數意見を尊重し、小會派の發言を擁護するための規定を設け、また委員會から討論者を指名させ、この討論者には優先的に發言權を與えることといたしました。表決につきましては、無名投票の方法は採用しないことにいたしました。これは憲法の規定の關係上、出席議員の五分の壱以上の要求があつたときには、必ず記名投票で表決しなければならないことになつておりますから、無名投票を行うことは、實際問題として、ほとんど不可能になると考えたからであります。

 質問、自由討議及び請願に關しましても必要な規定を設けました。殊に自由討議は新しい制度でありまするから、その指針ともいうべき最小限度の規定を設けました。自由討議の本質から、あらかじめ發言者はこれを通告する必要はなく、各黨においてあらかじめ定めた發言指名者が、議場で指名する者について、議長が發言を許すことといたしましたことは、從來にその例を見なかつたことであります。

 次に第十弐章及び第十三章の議員の請暇及び辭職についての規定は、從來とほとんど大差はございません。

 第十四章に資格爭訟に關しての詳細な規定を設けましたが、これは新たに憲法によつて、資格爭訟の裁判權が、議院に與えられたからでありまして、それに基いて、國會法では辨護人の選任を可能ならしめた關係上、辨護人の發言の機會等につきまして、規定をいたしました。