衆議院会議録情報 第001回国会 議院運営委員会 第14号

   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○淺沼委員長 御異議なければ原案通り決定いたします。次は第三十壱條。

○三浦説明員 三十壱條につきましては但書の方で「罷免の裁判をするには、審理に關與した裁判員の三分の弐以上の多數の意見による」となつておつて、意見がわかれて可否、同數になつたりした場合にはどうかという問題が提出せられたのであります。この問題につきましては、實はこの全般の問題といたしまして、訴追委員會の委員長を選任いたす場合、竝びに彈劾裁判所の裁判長を選任いたす場合におきましてそれが可否、同數であつたりした場合においてどうするかという規定を實はこの法案では缺いておるのであります。その點に關しましては私どもとしてはほかの問題であれば常に多數決によつて、最後にあるいはだれがきめるというようなときだれかの壱票によつてきめる。かようなこともいいかと考えますけれども、訴追委員會の委員長の選任あるいは彈劾裁判所の裁判長の選任というものはなみなみならぬ仕事でありまして、特に刑事訴訟法的な相當の知識も必要であり、また裁判的ないろいろな取扱い等に練達な方でなければならないと考えましたので、常に合議制ということを原則といたしまして、なるたけさような問題は協議によつてきめていただくことを考えてまい\xA1

つたのであります。從いまして委員長がだれかきまらない場合に、最後にどうやるか。あるいは裁判長がきまらないときは、最後にどうやるかということは、今の協議でどこまでもお願いすることがこの裁判所法の所期する目的に合うと考えておつたのであります。これらを壱貫いたしまして三十壱條のただいま申し上げました但書の場合におきましても、どこまでも協議によつて最後はきめていただくことが適當であろうと考えておるわけでございます。

○淺沼委員長 御異議ありませんか。

○林(百)委員 可否、同數の場合はどうなりますか。

○三浦説明員 それはただいま申しましたように常にどこまでも協議による。法律的には問題が殘るわけでありますけれども、今申しましたような意味で裁判の合議制ということを堅持していく方が望ましいではないか。法律的には問題が理論だけは殘るのであります。實際問題としてはそういう解決によつて<a href="http://xn--n8jya1fpdtc793yfkbb18dvp2i.com">処分</a>できると思うのであります。

   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○淺沼委員長 それから第三十七條。

○三浦説明員 三十七條はきわめて短かい條文でありまして、裁判官は罷免の裁判の宣告によつて罷免される、この罷免の效果に關聯いたしまして前に擧げました恩給權の問題、他の文官への就職の問題等があつたのでありますが、この問題とは別にたとえば裁判官が死亡した場合、あるいは辭職を申出た場合、任期滿了あるいは停年の場合等にどうやるかということが問題になつたのであります。かようなものに對しては彈劾裁判が起つた場合においてはみんなやめる、やめると言つて辭表を申し出た場合においてはこの效果が減殺されるのではないか。そういうものについて特別の規定を置くべきではないか、かようなことが意見として出たわけであります。この點に關しましては壱應彈劾裁判の對象であるところの裁別官が裁判官たるの身分地位を失いました場合におきましては、それに對してすでに訴訟の目的物がないことになるわけであります。從つてこれに對する裁判は自然に停止される、かように考えておるのであります。しかしながらなお辭職を申し出た場合においてはそれでは困るではないかというような御意見もありましたので、これらの點につきましては特に法規上の規定\xA1

を設けないで、別箇に行政措置といたしまして、裁判所長なり、あるいは訴追委員長が内閣の方に辭職を申し出た場合においては、彈劾裁判所に係屬している場合には、その辭表をそのまま進行しないようにというような別途の行政<a href="http://xn--n8jya1fpdtc793yfkbb18dvp2i.com">処分</a>に扱いによつて解決していきたいと考えているわけであります。しかしながらなお途中で停年になつた場合、あるいは任期滿了の場合とか、死亡の場合、どこでやめてもその人たちを彈劾によつて追究していく。たとえば恩給の問題等にも關聯いたしますので、それをどうやるかという問題は殘るわけであります。この點に關しましては必要があれば規定を置いてもいいかと考えておりますが、但しこれを御判斷願います場合におきまして、憲法の六十四條に彈劾裁判所を設ける規定があります點と併せて考えていただきまして、そこまで追究できるかどうかという憲法論を壱應決定した上で法案を<a href="http://xn--n8jya1fpdtc793yfkbb18dvp2i.com">処分</a>したいと考えております。

○淺沼委員長 御意見ありませんか。